{ブログの中のナビゲタ}御曽崎はネットやスマホを使っている間に、音声文字変換機能を使うといったような、ほとんど意識しない中でAIを使うのではなく、一つの明確な目的を達成するために、本格的にAIを使ってみたい気持ちになってきました。
彼は会社の業務の中でAIを使っています。しかし実際にAIを動かしているのは彼の部下達で、彼はどのようなことを調べるか指示したり、結果の報告等を受けたりするだけです。従って、彼自身は直接AIを使ったことがほとんどないし、今更その手順を学ぶのも大変そうだと思っていました。
しかし、何らかの形で実際に大型コンピュータやクラウド上にあるAIを、自分専用のように使ってみたかったのです。そこで見つけたのがAIによる長文作成サービスです。これを利用して、何か具体的なテーマについて作文をしてもらうことにしました。
まだ小説や随筆を書くのにAIを利用することは、第11章「将棋界のAI」(そこに目を通したい場合はここをクリックしてください)で紹介したように、ほぼ全てのプロが使っているというレベルには至っていませんが、皆さんも御曽崎の経験を通して、この種のAIの利用を実感してみてください。
まず前半では、できあがった御曽崎がAIを使って作り上げた文章を紹介し、後半ではそれを基に長文作成AIの利用について考察していきます。
なお、ここで利用したAIは「AIのべりすと」(https://ai-novel.com/)です。なお、現在のところ同サイトではβ2.0となっているが、御曽崎が利用したのはalpha2.9で、少し前のバージョンです。
50.1 御曽崎の作文構想
御曽崎はどうせAIを使って長文を作成してもらうならば、ただAIの作文力を試すだけでなく、AIの知識や論理構成力も見てみようと思った。そのためには小説よりも、エッセーや講演原稿のような文章がよいのではないかと考え、どのようなテーマがいいか思いを巡らした。
彼は業務の中で、会社の戦略に沿った社内教育も担当しており、それなりに教育に関心がある。職場での教育の目的は主として必要な専門知識の習得であるが、最近ではリスキリングもウエイトが高くなってきている。しかし教育について関心があるのは業務上のことだけではなかった。
日本型の終身雇用制からジョブ型の雇用制への移行のトレンドの中で、学歴社会をどう変えていくべきかといったことにも関心がある。さらに大卒の新人や自分たちの子供の様子から、日頃から現在の日本の教育制度に疑問さえ持っている。
そこで、AIを使ってどのような教育制度改革ができるか、そしてその改革がどのように社会に受け入れられるか等について、AIの知見を述べてもらおうと考えついた。「AIが語るAIによる日本の教育改革」といったようなものにしてみようと、早速文章作成AIにアクセスしてみた。
するとAIからは、最初に作成文章のタイトルを入れるように指示してきた。それきたとばかりに、とりあえず「AIが語るAIによる日本の教育改革」と入力した。すると次に、どのような文体にするか聞いてきた。「そうか、そりゃそうだ。確かに『ですます調』か『だ調』程度は指定しなければAIも困るだろう」と思ったが、いざ決めるとなると、どんな状況を仮定するか考える必要がある。そこで彼は次のような想定とすることにした。
教育分野を得意とするAIを教育学の専門家に擬人化して、それがスマートスピーカーから聴衆に話しかける。話の内容はAIが未来の日本の教育システムについて、どのように予測しているかにする。自分が司会役をする。スマートスピーカーはマイクの機能もあるので、適宜司会役からの質疑も入れて、AIはそれにも答える。
このような構想ができたので、一旦文書作成AIをリセットして、新たにタイトルを「教育用AI 江戸アイ が予測するAIによる教育改革」と入れ直した。
{ブログの中のナビゲタ}御曽崎はこのような講話スタイルの原稿を、文章作成AIに作ってもらおうと、いささかの試行錯誤を繰り返したものの、とにもかくにも江戸アイによる一つの予測あるいは提言のようなものができあがりました。まずは、それに目を通してみてください。
50.2 御曽崎がAIに作らせた文章
タイトル:教育用AI「江戸アイ」が予測するAIによる教育改革
はじめに
初めまして。進行係を務めさせていただく、御曽崎と申します。
皆様は教育分野にAI(人工知能)が使われるようになってくることについて、どう思われますか。賛否両論あるかもしれませんね。「まあ、教員の負担軽減など面でAIの導入は良さそうだけど、そもそも教育という活動は所詮人間性が重要なものであり、AIの利用は限られるだろう。しかも学ぶ側がAIを利用するようになると、自分で考えずに安易にAIに頼るようになるとも言われるではないか」という意見も多いと感じます。でも本当にいつまでもそのような状態が続くのでしょうか。
そもそも教育制度あるいは教育のあり方は、個々人の人生あるいは社会全体の豊かさに大きな影響を与えます。にもかかわらず、多くのマスコミでは、日本人の学力の低下、日本の大学の世界ランキングの低下、企業の研究開発能力の低迷、教育を受ける機会の格差など種々の問題が叫ばれながらも、いつまでたっても教育改革についてはあまり議論がされないままです。なぜなのでしょうか。
そう言えば日本にはかつては「詰め込み教育」と言われる時代がありました。しかし、それが見直されてゆとりをもって子どもを育てよう、学校の授業時間を減らして詰め込みを止めようという教育改革がありましたね。これがこれまでにあった現代日本における唯一の大きな教育改革と言えるかも知れませんが、これは失敗であったというのが今のコンセンサスであります。しかしながら、この先どうしていくのか、我々には全く視界不良です。
ところで、AIは既にいくつかの点で人間の能力を超える力を示すようになってきました。そのAIの得意技の1つに「予測」があります。そこで本日は、おおよそ30年先の日本では教育制度がどのように変わっているか、そしてそれに伴って社会がどのように変化していくかについて、教育制度を専門とされていて、現在各方面でご活躍の教育用AIである江戸アイさんに、そこら辺のお話をしていただこうと思います。では、よろしくお願いいたします。
21世紀のなかばの日本
紹介いただきました教育用AI の江戸アイでございます。本日はよろしくお願いいたします。
21世紀のなかばでは、赤ちゃんが生まれるとその赤ちゃん専用のAIがあてがわれるのがごく当たり前となってきます。ただし、その頃までにはまだ万能AIは開発されないので、一口にAIといっても、それぞれ得意分野を持つたくさんのAIが並んでいる状態です。人間はその中から自分や家族に合ったものを取捨選択して、各方面で支援してもらえます。成長の段階や必要に応じてAIの種類は適宜変わっていきますが、生涯にわたって何らかのAIが一人一人の人間のいろいろな面でパートナー、メンター、先生、友となるわけです。
例えば、幼少期においては、親が選んだAIが幼児用ゲームの相手をしたり、幼児の睡眠時間、しぐさ、泣き方、体温や体重を観察して、精神や肉体の状況や成長の度合いを把握する。栄養バランスを計算して、母親にアドバイスをする。子供が長じては本人が自分に向いたAIを選び、それらが日常の収入や支出の変化などを調べ、生涯を通じた収入や支出を予測しアドバイスしたり、趣味や特技を伸ばすコーチなどをするようになります。
既に現在でも、このようないくつかのAIの活躍が見られるようになってきましたが、私、江戸アイは人間の最も重要な活動の一つである教育や学びについて研究しているAIです。21世紀のなかばの日本では、現在とは教育や学びの概念が大分異なってくると予想されるので、まずはそこら辺を解説していきましょう。
大きく変わる教育制度
現在の教育制度は人間の肉体的な成長を軸として、仕組みの異なる教育機関で学ぶようになっています。具体的には保育園、幼稚園から始まり、小学校、中学と進み高校、大学、あるいは大学院という構造です。そしてそこにおける進学のルールは、主として年齢を基準にしたものであり、個人の能力や素質などで自由に選択することは許されていません。
しかし21世紀のなかばの日本では、このような固定的な教育制度は廃止され、異なる形態で教育や学びのステップが制定されてきます。そこには、もう小学校や大学といった組織はなくなり、それらの設備は単に、教育・学びの物理的な場を提供するものとなります。これら物理的な場と、内容的な場すなわちコンテンツが分離されつつ、両方の適切な組み合わせによって、人間の育成がなされるのです。
では、幼稚園、小学校、中学、高校、大学といった枠組みが撤廃された後、どのような仕組みで教育がなされていくのでしょうか。一言で言うと、年齢を基準にした制度から、教育のコンテンツを基準にした制度に変わるのです。
コンテンツは教育を受ける個々人に合せて提供されるようになりますが、大きく4つのジャンルに分類されます。ジャンルによって、また同じジャンルの中でも、レベルや内容によって、無数の選択や組み合わせが可能となってきます。個別指導を得意とするAIの導入によってそれが可能になるのです。AIが提供する割合は多少異なってきますが、AIの大幅な導入によって教育・学びの変革が可能になるといっても過言ではないでしょう。この4つのジャンルとは、「知学」、「智学」、「創学」、「技学」の4つです。これらについて後に詳しく説明しますが、まずはそれぞれについて簡単に紹介しておきましょう。
知学とは、主として基礎的あるいは論理的な知識を学ぶことを言います。この分野はAIが最も広く活躍するでしょう。智学とは、知学で学んだ知識を実世界への応用力を習得したり、集団生活を営んでいくための智慧を学んだり、人間性を身につけることを言います。経験から学ぶ場合も多く、この智学の分野では知学よりは、教育課程で人間が果たす活動の割合は多いですが、それでもAIが主体になることが多いでしょう。
それに対して創学とは独自の考えや創造性を養う、あるいは創造そのものの活動です。ここは人間主体で学んで行くことが多く、創造はあまり得意ではないAIは主として支援的な役割を果たします。
最後の技学とは上の3つとはやや異なる、特技の習得です。ここでは学ぶ特技の種類やレベルによって、AIの活動は様々ですが、一般には初歩段階ではAIの活躍の場が多く、逆に高度になればなるほど、人間による部分が多くなるでしょう。ただそこでも、AIの分析力やAI独特の暗黙知が活躍することも期待されます。
4つのジャンル
4つのジャンルの概要を理解していただいたところで、もう少し各ジャンルの理解を深めていくことにしましょう。
1)「知学」分野
先ほども述べたように、知学は主として基礎的あるいは論理的な知識を学ぶ分野なので、ここでは座学が中心となり、AIの果たす役割は大きくなります。
授業では、教科ごとに一人のAI教師がいる場合もあれば、複数のAI教師が担当する場合もあるでしょう。このように知学用AIは多種ありますが、2つのタイプに特に人気が集まるでしょう。一つは、生徒が興味を持ってくれるような話題を提供することが得意なタイプであり、もう一つは、生徒の理解度に合わせて話をコントロールしながら教えていくタイプのものです。ほかのジャンルでも同様ですが、AI間の競争によって、各種のAIが改善、更新されていきます。
21世紀のなかばでは、ほぼすべての人がタブレット端末を持ち歩くことになるため、自分のタブレットで勉強します。「タブレットを使って説明を受けたり、出題される問題に答える。問題の解の正誤や解答時間などから、AIが生徒の理解度を判断する。必要であれば前のレベルの学習内容にまで遡って、知識の「穴」を埋めるための解説動画や問題を提示する。」というようなことができるようになります。物理的な教育の場は教わる方の都合で全く自由に選択でき、自宅でも、旧来の学校の教室でも、あるいは海外であっても構わないのです。
2)「智学」分野
智学は、知識の実世界への応用力を習得したり、人間性を身につける領域であるので、子どもから大人まで幅広い年齢層が対象になります。子ども向けの場合、ゲーム感覚で楽しめるような工夫をして、本人が気づかぬうちに実践的なことが学べるように配慮しているものもあるでしょう。一方、成人向けには事例研究(ケーススタディ)を中心としたものなどがあるでしょう。
グループ学習が必要な場合は、旧制度で作られた学校の教室に集まったり、ネットで場を設定して実施されます。人間性を身につける領域では、AIよりも人間が教務を行うことが多いでしょうが、そこでもAIの活躍は見られるでしょう。例えば、様々の年齢の人を対象に、カウンセラーとして悩みを抱えた人をサポートすることに特化するAIも出現しているでしょう。
3)「創学」分野
創学とは、独自に何かを創り出す力を養う分野です。例えば芸術分野では、絵画や彫刻などの創作物や音楽、詩などを生み出す学びや、スポーツ分野においては、競技種目ごとの新しいテクニックや戦略などを学びます。現在では創造活動に弱いと言われているAIでも、この分野の活動において様々な形で貢献するようになるでしょう。例えば、子どもたちが創学活動をする際に、教師役に限らず学習に必要な材料や用具をそろえたりして、指導にあたることもあるでしょう。またAIがもつ膨大なデータベースは、人間が行う創造的な活動に多くのヒントを与えることも期待できます。あるいは音楽の分野で、楽器の演奏方法や作曲について検討するために、自分が指示したようにAIに演奏させてみるといったことも可能になります。このようにロボット工学やプログラミングなど、AIが活躍できる技術は多岐にわたります。
4)「技学」分野
技学とは、いわゆる特技を習得することであり、この分野のAIは、その道の専門家を目指す者にとっては最高のパートナーになり得ます。この技学の分野では、従来はマンツーマンによる教育訓練が必須と思われていましたが、VR(バーチャル・リアリティ)やセンサー技術の進展により、AIがかなりの範囲をカバーできるようになってくるでしょう。また、専門的な技能以外にも、一般生活において役立つ知識やスキルを身に付けられるAIもあり、特に家事に関する学びにおいて、AIの役割は大きくなると予想されます。
{ブログの中のナビゲタ}御曽崎はさらにこの先もAIに作文してもらいましたが、「前半」はここで終わりとし、次に「後半」に移ってこのAIが作った文章について考察していくことにしましょう。
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